農園ブログ

名山旅歩記

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2012/08
24

槍ヶ岳登山
名山旅歩記

念願だった槍ヶ岳登山が実現しました。表銀座コースや槍沢コースは人が多いのと、2泊3日になるので、時間が自由にできる新穂高コースにしました。(8月22日)

8月20日(月)

無料駐車場——登山口——奥穂高登山口——–ぶどう谷———ヒカリゴケ———滝沢出合

4:10   4:30   6:10   6:50   7:00   8:00

 

槍平小屋——–千丈沢乗越分岐——–槍ケ岳山荘

8:40   11:40    14:15

 

8月21日(火)

槍ケ岳登山——槍ヶ岳山荘——–千丈沢乗越——奥丸山分岐——槍平小屋—–登山口

6:00   8:00   9:40   11:30  12:30  15:10

 

憧れの「槍登頂」記

8月19日(日)

11時自宅を出発。名神・東海自動車道を利用し、高山経由で新穂高に。(美作IC~高山IC、ETC休日割引4400円)。明日は夜明け前の出発なので、まず登山口を確認。自転車禁止のポスターがないことを確かめて車から自転車を下ろす。(ネットの投稿に長い林道に自転車を利用することが紹介されていた。)登山口近くの駐車場は有料で高いため、ここから徒歩で15分ほど下った深山荘前無料駐車場に駐車する。この駐車場はいつも車であふれるそうだが、この日は盆の休暇明けのため、7割程度。早速、ビールを持って深山荘の露天風呂(500円)に。

 

この日の車中泊は網戸を用意したが不要。少し寒いぐらい。(夕方の気温22度)

 

8月20日(月)

4時起床。登山口に偶然、自転車の男性。同じことを考える人がいた。二人で自転車を押しながら暗い林道の坂道を歩く。なんとなく心強い。禁止の標識はなくても自転車はマナー違反だが。この男性は三重の人で今回は奥穂に登るそうである。夜が明けてきた。 

 

途中の自転車禁止のポスターのあるゲート横に自転車を置き、槍平小屋を目指す。奥穂登山口の先の沢からはあまり高低差ないどこにでもあるような登山道。ぶどう谷、ヒカリゴケ、チビ谷を過ぎ、滝谷出合で休憩。広い沢の上流には滝が見える。水量が多く、橋がないと渡れないが、新しい橋はかなり高い所に付けられている。この沢を越えてからも川の音が聞こえるだけの楽しみのない登山道。林の中だけに日差しはないが、景色もない。ただひたすらに距離と高度を稼ぐだけ。何度も沢を渡る。

8時40分、槍平小屋に到着。ここまで意外と元気。10時までに着けなかったら、ここに一泊することも考えていたが、一気に槍ヶ岳山荘を目指すことにした。コース時間は5時間、2時過ぎには着きそうなので、雷の心配はなさようだ。

   

2500mを過ぎるあたりからきつくなってきた。今回、出発前に靴が見つからなかったので靴を新調した。新品の靴のため、右足が靴ずれ。左足は痛風発作。それよりも疲労度を増やすのザックの重さ。軽くしようとバナナ3本と弁当を食べるが、重いのはカメラや三脚等の写真機材。次回の山登りは絶対、カメラを替えようと思う。このコースの登山者は少ないが10人程の人が私を追い抜いて行った。私に追い抜かれた人はいない。私の後ろにいたMさんも今はもう遥か上の方で、姿は見えない。千丈沢乗鞍分岐を過ぎるとガラ石のジグザグ道。景色は開けたが、厳しい夏の日差し。山頂まではあと何時間かかるだろうか、気が遠くなるほどの長い距離。1リットルの水を飲み干す。脈を測ると120を超えている。2,30m登っては腰を下ろす。

2時を過ぎ、ガスで山頂が見えないが、上のほうから若者達のにぎやかな声が聞こえてきた。ガスの切れ間から赤い建物の一部が見えた。どうやら槍ヶ岳山荘のよう。気持に元気が出たが、足はなかなか進まない。10分程でやっと若者達が騒いでいたテント場に到着。そこを左に曲がると、目の前に槍が!これまでは遠くで眺めていた槍が今すぐ前に。感動!やった!

 

 

受付を済ませ、ヨタヨタしながら部屋に。今日は布団1枚に1人とのこと。ありがたい。ただトイレは2Fにしかないので不便。

  

外のテラスで自分へのご褒美のビール。500ml缶750円が高いと思わない。ドライは旨い。下から持ってきたチーズやツナをつまみにして一気に2本。(痛風心配)

気がつけば偶然、隣りの席は大分から来られたMさん。この前は岩手山、月山、早池峰山に仲間の方と登られたそう。明日は大キレットを渡り、穂高の向かわれるとのこと。年令では私よりは少し先輩だがとても健脚。いい目標ができた。退職された今は地域のために力を尽くされている。

 

5時から夕食。今夜の泊まりは280人だそうで、ほとんど1回で終わる。メニューは煮込みハンバーグだが、疲れた時には食べにくい。食事を提供してもらえるだけでもありがたいのだが、正直言って去年の涸沢ヒュッテの方がいい。

  

 

再びテラスに出るとガスが切れて槍が姿を現していた。西日が当たり、ラッキーなことに槍の横にブロッケン現象が見られた。大勢の女性がはしゃいで手を広げている。南の大喰岳が赤く焼けている。残念なことに西の空は雲に覆われ、日没の瞬間は見られなかった。

      

 

8時30分消灯。寝返りのできるスペースは十分あるが、湿度が高く、暑くて寝苦しい。膝から下が火照って眠れない。同じ姿勢でじっとしていることができず、絶えず足を左や右に動かしたり、折り曲げたりする。これの繰り返し。疲れているのに神経も興奮状態。眠れたのは12時を過ぎてからだと思う。

 

8月21日(火)

3時過ぎ、早出の人の物音で目を覚ました。4時には小屋の電気が灯った。4時30分、まだ暗いだろうと外に出てみるとそこには別世界があった。東の空にオリオンが輝き、いくつかの星が残る暗闇の中に槍の黒い影が浮かんでいた。東の空には透き通るような群青の山なみ。言葉にはできない衝撃の瞬間。ここでは1分1秒を言わず、瞬時に姿が変っていく。やがてその群青の山際がオレンジ色を帯び始め、東の水平線が赤みを増してきた。

どこから太陽が姿を現すのか、どこが撮影ポイントなのか、三脚を持って移動する。待つこと30分、東の空の雲の一部が火山のマグマのようにうごめいて見えた。その赤い点が広がり、ぽっと太陽の頭が姿を見えた。周りは歓声とシャッターの音。この数秒の時間のために重い三脚を持ち上がってきた。晴れていて本当に良かった。

    

槍に目を向けるとまだ壁に無数のライトが動いていた。それは頂上が一杯となり、順番待ちのため壁の途中で足止めになった人達。1時間以上同じ場所にいるようだ。気の毒にあの場所は裏側になるので日の出は見えなかったと思う  。

 

山岳雑誌に「槍の穂先に登るには朝食の後の時間ぐらいが、御来光を見た人達が降りるのですいている」と書いてあった。そこでゆっくり食事をした後、6時に登り始めた。本当に待ち時間なしで登れた。

鎖場の先のハシゴ場は一昨日、雷による死亡事故があったところ。雷注意報が出ているので登るのを控えるようにと小屋の人がスピーカーで注意をしていたそうだ。また昨日は女性がここまで登り、足がすくみ「怖い!」と大声で泣いていたそうである。

若いころは高いところは平気だったが、この年になると急に気を失い、ふっと手を離してしまうのではないかとこわい。岩場もしっかりホールドしながら登る。最後は30段ほどのほぼ垂直のハシゴ。下を見ないで足の位置を確かめながら一歩一歩慎重登る。ハシゴを握る手も必要以上に力が入る。

      

山頂は360度の大パノラマ。今まで遠くから憧れを持って眺めていたあの槍の上にいる感動。天気快晴、日本の有名な山がすぐ目の前にある。なんという贅沢。頑張った人だけに与えられた特権。正面には蝶ケ岳、常念。そして八ヶ岳の峰々と続く。南東には霊峰富士と北岳、濃鳥。南には大喰岳の先に北穂高山荘、奥穂、前穂。そして乗鞍の向こうに木曾御嶽もはっきり見える。遠くの西の空には白山までが見えた。山頂には10人程が思い思いに至福の時を楽しんでいたが、山に詳しい人がいて「あれが五竜、剣岳・・」と詳しく教えてくれた。カメラに収めると共に、もう来ることはできないかもしれないと思い、何度もこのパノラマを目に焼き付けた。

         

急に県警の救助ヘリが小屋に現れた。小屋の中から職員に抱えられた男性の姿が見える。どうやら昨日、足を骨折した人がいたがその救助のようだ。男性を乗せるとすぐ松本方面へ飛び立った。この間はわずか1分程。またその後20分程たってから今度は荷揚げのヘリが飛んできた。  

山頂からの景色を十分楽しみ、下山したのは7時30分。そのため小屋をチェックアウトをしたのは私がどうやら一番最後のようだった。

しっかり名残りを惜しんで、8時下山開始。コースは登りと変えて奥大山から槍平に下るコース。千丈沢乗越までの稜線からの景色は見事だった。風もさわやか。笠ケ岳や硫黄の頭、双六が目の前。

  

 

千丈沢乗越から飛騨沢に下る。奥丸山への標識は壊れていてこの山道でいいのだろうかと不安だった。このコースを下ったのは私だけだったようで、途中、一人だけ出合った男性も「このコースで人に会うとは思わなかった」と驚いていた。クマザサの中を少し下ると花畑。ラッキー。思わぬ出合いに得した気分。花の盛りの時期は過ぎていたが、何枚も写真を撮る。

  

 

花畑を過ぎ、何度も小さいピークを越え、奥丸山・槍平分岐に着いたのは11時30分だった。予定時間をかなりオーバーしてしまった。槍平小屋を目指して急な坂道を一気に下る。

12時30分、槍平小屋到着。水場で1リットルの水を飲む。昼食はラーメン。

小屋からの下山道で重いリックを背負って登ってくる何組かの学生のパーティに会った。ザックの重さを聞くと30kgだそうだ。頼もしい。このコースでは槍ケ岳山荘で見かけた今流行の山ガール達には出会わなかった。

 

小雨になった。最後の自転車を楽しみにして、気が遠くなるような長い山道をひたすら下る。石が濡れて滑りやすい。下山のスピードは上がらなった。ママチャリはゲート横にカギをかけないで置いていたが無事?にあった。リックを背負ってバランスを取りながら下る。道が悪いので尻が痛い。臭い!しばらくすると異様な匂い。自動車のようにエンジンブレーキがないため、ブレーキのゴムが悲声を上げていた。登山口から駐車場までの15分の県道も楽勝。16時20分、やっと駐車場に到着。下山には8時間20分もかかってしまった。ママチャリがなければ17時までに帰れなかったかも。登山靴を脱ぎ、サンダルに履き替えた時の解放感は何とも格別、これまでの疲れを忘れる。

日帰り温泉施設「平湯の森」で汗を流す。あれだけ汗をかき、過激な運動をしたのだから、どのくらい体重が落ちているだろうかと、楽しみにして体重計に乗ったがほとんど変化なし。がっかり。自宅まで7時間450kmの車の運転は流石に疲れた。0時30分、自宅に無事到着。爆睡!

 

花の写真は次回のブログに

 

 


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