農園ブログ

名山旅歩記

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2013/10
01

ちょいと富士山 ひとつかみ「北岳~間ノ岳、高度3000mの贅沢な稜線散策」
名山旅歩記

北岳(3192m)は日本で2番目、間ノ岳(3189m)は4番目に高い山です。この2つの山を結ぶ縦走路は日本一と言われているので、ぶどうの作業が終わり、稲刈りまでの3日間を使って紅葉真っ盛りの白峰2山の縦走に行ってきました。

 

<行程表>

9月29日前泊

戸台口———北沢峠——–広河原——–広河原山荘

12:40                 15:00

 

9月30日(月)

広河原山荘—–大樺沢二股——-8本歯のコル——北岳山荘—–中白峰——間ノ岳——-北岳山荘

4:30                         9:00      11:30  11:45        13:45  14:15   15:45

 

10月1日(火)

北岳山荘—–北岳山頂——–肩の小屋——-白根御池小屋—–広河原——-北沢峠——戸台口

6:20      7:25  8:00    8:30         10:10        12:15

 

 

1日目(9月29日) 前泊(広河原山荘)

自宅を6時に出発。中央道駒ケ根ICを降り、戸台口へ向かう。これは失敗、最短距離と思ったが山越えのヘアピンカーブの連続。戸台口には伊那ICを降りて高遠経由が速い。何とか12時過ぎに着く。広い駐車場は甲斐駒、仙丈登山の車でいっぱい。ここから一般車は入山規制。急いで仙流荘の「仙人の湯」(600円)で汗を流し、12時40分の北沢峠行きのバスに乗車する。南アルプス林道のバスを乗り継いで15時に広河原に到着。日曜日の午後なのでアルペンプラザのバス乗り場も下山者でいっぱい。芦安に向けて臨時便の増発が続いていた。

 

 

吊り橋を渡って広河原山荘へ。木立の間から北岳の山頂が見え、「よし、明日は!」と気合を入れる。

  

  

広河原山荘は日曜日の夜なので、ガランとしていて宿泊者は4人のみ。狙い通り、北アルプスを敬遠して正解。1人1部屋の贅沢。まずはいつもの通りビールで乾杯。

食事はここの名物のワインも付いてなかなかのもの。スープは絶品、お代わりをする。

睡眠安定剤を飲んでぐっすり眠ていたところ、夜の10時に男女4人のパーティーが到着。何か特別な事情があったのだろうが驚く。

 

2日目(9月30日) 八本歯経由北岳山荘~間ノ岳

4時30分、ライトをつけて出発。暗闇の中、下弦の月がきれい。誰もいない登山道、今でも熊が出没しているそうで、熊鈴を忘れたことを後悔。2時間程登ると朝日に赤く染まったバッドレスが現れた。7年ぶりの再会、自然に元気が出る。

  

大樺沢に入る頃になると夜が開け、眺望もよくなり、後ろを振り返ると鳳凰3山、オベリスクが肉眼で見える。大樺沢の大きな岩の間をジグザグに登っていく。登り始めて2時間半、仮設トイレのある大樺沢二股に着く。ここは右俣コースとの分岐だが、八本歯のコルを目指す。

  

前回、8月に登った時は、雪渓歩きが何か所かあったが、明日はもう10月、雪渓は1ケ所だけだった。

次は見事なバットレス4連発。おかげで疲れが半減。

八本歯のコル手前は急な突き上げ。斜度70度、20余りのハシゴの連続。一つ登ると息が切れ、休憩。脈は130を越えている。改めて元気でいてくれる心臓、そして他の臓器に感謝する。北岳上部は紅葉真っ盛りでダテカンバの黄色とナナカマドの赤色のコントラストがきれい。

  

9時、コルの峰までやっと登り切るとその先には霊峰富士。これほど近くて、大きかったのかと、改めて感動。富士山はやはり遠くから眺める山。

北岳トラバース分岐から見るとバッドレスが目の前。北岳山荘から間ノ岳に向けての稜線も鮮やか。この絶景は苦労して登って来た者へのご褒美。そうそう、今日はここまで珍しく誰にも抜かれていない。(それは登山者が少ないからです)

しばらく感動に浸った後、北岳の西側の北岳山荘へのトラバース道を行く。足を踏み外せば数百メートルも落下するタフな下り。山荘が目の前に見えているのにコース時間通り1時間かかった。

11時40分、北岳山荘到着。出発から7時間、普通はこれでビールの時間になるが、明日は雨のようなので今日が勝負と間ノ岳を目指す。

昼食を期待したが、北岳山荘では昼の食事の提供はなく、カップヌードル300円、菓子パン200円で済ます。部屋に荷物を置き、軽装で出発。

間ノ岳までは2時間のコース。稜線はアップダウンが多くて、登り返しを心配したが、尾根の北側に整備された比較的なだらかな登山道だった。明日の雨を予想させるような雲。うろこ雲、ひつじ雲、彩雲のフッションショー。シャッターチャンスの連続で時間をとられる。

 

稜線の右には乗鞍の中央アルプス、さらにその先には木曾御嶽。北に目をやれば槍穂の北アルプスの峰々。去年、槍の頂上から見た富士山はとても小さかったが、今日は目の前にドカンと座っている。仙丈ケ岳のハイマツの紅葉、その先の雪のような甲斐駒ケ岳の摩利支天。やはりここは日本一の縦走路。360度のパノラマ、高度3000mの贅沢な雲上の散策。

そうこうしている間に中白峰を越え、間ノ岳へ。山頂は広々として誰もいない。30分滞在していても誰も来ない。日本第4位というのに隣りの北岳に人気をとられて少しかわいそう。

  

農鳥のよく見える所まで足を少し伸ばす。三峰岳の手前に農鳥小屋が小さく見える。アクセスさえ良ければ白峰3山縦走が可能だが、奈良田から帰るバスがない。

大パノラマをしっかり目に収め、北岳山荘に戻ることにする。やっぱり疲れが足にきている。荷物はなくても、乱視入りの遠近両用メガネでは何か歩行が不安定。誰も通らない長い稜線を転ばないようにゆっくり歩く。

3時30分、山荘着。今日はⅠ1時間のハードな山登り。やっとここでお待ちかねのビールの時間。なんとここにはアサヒのドライ(500円)が置いてある。2本を両手に持って富士山の撮影をしにテラスに出る。「プシュッ!!」 ああ、なんと至福の時。この瞬間のために山に登っているのかも。

富士に西陽が当たり、徐々に赤富士になってきた。穏やかな時間が流れる。三脚がないのでブレないようにシャッタ―を押す。

 

山荘の宿泊者は20名ほど。布団2枚に1人のスペース。「農鳥部屋」は16人定員のところ今日は4人。全室南向きで富士山がよく見える。肩の小屋には申し訳ないがこちらはずいぶんきれい。トイレも室内にある。

  

  

食事もしっかりしている。4人にどんぶり1つ、夕食には肉ジャガ、朝食には山芋のトロロがついている。朝食のメニューもそうだが弁当もかなり充実している。ごはんが痛みにくいようにと、酢飯にしているところなど心配りがうれしい。

  

夜は外の気温が6℃。どうも明日は雨のよう。毛布1枚をシーツ代わりにして、うすい掛け布団と毛布で全然寒くない。今日は睡眠安定剤が全然効かない。膝から下が火照る。疲れ過ぎていて寝返りの連続。「ぶどうの箱詰め」が何度も夢に出てきて昨晩のようには眠れなかった。

 

3日目(10月1日) 北岳山荘~北岳~広河原

5時半起床。富士山はやはり雲の中。カメラを持って外に出るが、雨は落ちてないものの、ガスの中。今日は早出をしないで5時50分からの朝食を頂く。

  

天気が悪く、登頂を断念しようかと迷っていたら、一時、雲が切れ、北岳の山頂が姿を現した。それならばと6時20分、山荘を出発し、北岳を目指す。

吊尾根分岐からは斜度もきつくなり、鎖場、ハシゴが続く。重いザックでバランスを崩すと、一気に数百メートル落下してしまう。時折、ガスが切れ、仙丈が姿を現す。

 

7時25分、北岳山頂。誰もいない!眺望もない。感動もない。それでもと思い、雲が切れた瞬間を狙ってシャッターを押す。しばらくすると2人の男性が肩の小屋から登ってきた。一昨日、広河原山荘で同宿だった東京と大阪の人だった。このあと北岳山荘にもう一泊して天気の回復を待つそうである。

  

  

 

8時、山頂を後にして肩の小屋に向けて下山開始。

  

 

肩の小屋を過ぎると雨具が必要となり、カメラはザックにしまい、下山を急ぐ。小太郎屋根分岐から先の草すべりはその名の通り、両脇の草に囲まれた急峻な登山道だった。登りなら大変。このルートを下山にして正解だった。

 

白根御池小屋10時10分。急げば12時30分のバスに間に合いそう。それから先は深い樹林帯の急な坂が続いた。夏の強い日射しを避けたり、雨の時の避難ルートにはいいとしても、絶対、登りには利用したくない。白根御池分岐からも下っても下っても先の見えない急峻な尾根の道が続いた。

沢の音が大きくなってきた。12時10分、やっと広河原山荘。ふー長かった。もうこれで歩かなくてすむ。バス停には発車10分前に到着。次のバスだと2時間先になってしまうので、滑りこみセーフ。この後はバスに揺られて北沢峠、戸台口へ。

14時、戸台の仙流荘で汗を流す。体重計に乗ると今回は1.2kgの減量だった。さあ、次はここからは6時間の運転。

平日の中央道でも交通量は多い。1度、給油で車を止めただけでノンストップで我が家へ急ぐ。20時20分、無事帰宅。朝の7時には北岳山頂にいたのに何か不思議な気分。何の不自由もない平凡な毎日の有り難さを気付かせる山の生活。さあ、明日からはまた稲刈り。

PS 高速料金(伊那IC~美作IC ETC平日割引6800円、給油約6000円。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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