昨日26日(土)9時、今年最後の縦走、荒川三山を目指して出発しました。悪沢岳は日本で6位、赤石岳7位、荒川岳13位の高山です。インターネットで登山計画を十分研究し、この縦走をするにはもう今年しかないと決意して、8時間かけて静岡の井川湖の手前まできた時です。ひょっとして台風28号の影響で林道が山崩れで通行止めになっていないか気になり、東海フォレストサービスに電話しました。すると、なんと山小屋を閉めたそうです。ジェジェジェ!です。インターネットではⅠ1月4日までとなっていたのに。こんな山奥まで来て今更そんな・・・。意気消沈とはこのことです。
それでも折角、ここまで来たのでどこかに登って帰ることにしました。北アルプスの山小屋はまだやっているでしょうが、ここからは遥か彼方・・・。そこでここからそれでも近い甲斐駒ケ岳に登ることにしました。とは言っても静岡から赤石三脈をぐるりと回り、反対側の長野まで行かなければなりません。登山口の戸台に着いたのは21時30分でした。12時間のロングドライブになってしまいました。
長野の山中の車中泊は布団をかぶっていても寒かったです。2時、場所取りのため、ザックをバス乗り場のベンチに置きにいくと、空には恐ろしい程の星の数。目の悪い私でもオリオン座の星雲が見えるほどでした。今月までオリオン流星群が見えるというでしばらく眺めていました。それから車に戻って布団に入りましたが、朝まで全然眠れませんでした。
<行 程>
戸台口ーーー 北沢峠ーーー北沢駒仙小屋ーーー仙水小屋ーーー仙水峠
6:00 7:00 7:10 7:30 8:00
駒津峰ーーー六万石コルーーー魔利支天分岐ーーー山頂ーーー駒津峰ーーー双児山
10:00 10:50 11:20 11:40 13:10 14:00
北沢峠
15:00
10月27日(日)
6時、戸台発。バスは満員で臨時が出た。車窓から鋸岳下の見事なカラマツの紅葉が見えた。1時間で北沢峠着。すぐさま登山開始。
峠から10分程下り、北沢駒仙小屋へ。ここは予約が必要だそうだ。そこから1時間は北沢沿いの緩やかな登り。昨日、台風28号の雨で増水しただろうに、水は透き通っている。
何度か沢を渡り、30分ほど坂道を登ると仙水小屋。シーズンも終わり、無人。蛇口の下に置かれたバケツの水は凍っていた。
コメツガ、シラビソの樹林帯をしばらく登ると露岩帯の斜面が現れた。おびただしい数の岩群。岩の上を30分ほど歩くと眼前に豪快な魔利支天が姿を現した。これまで不思議な山だなと、遠くから眺めているだけだったあの魔利支天が目の前にあった。。
さらに30分ほど歩くと仙水峠。ここは栗沢山と駒津峰の鞍部で、振り返れば千丈岳が望まれる。
休憩もそこそこに出発。そこからはダテカンバ、ハイマツのきつい登山道、森林限界に近づく。山小屋2泊用にと持って来たザック(水・食料)は重く、どんどん後発の人に抜かれていく。曜日のせいか、この山のせいか、私のようなシニアは見られず、若い山ボーイ、山ガールばかりである。みんな元気がよい。
仙水峠から駒津峰までは標高差500mの眺望のない心臓破りの坂道が続いた。ヨタヨタと1時間半かかってやっと駒津峰に到着した。
ついにドカンと豪快な甲斐駒が目の前に姿を現した。3週間前に北岳から眺めた甲斐駒が今、目の前にある。どこから見てもすぐ甲斐駒とわかる白く輝く孤高の岩峰ピラミッド、そしてあの魔利支天。展望もよく、南・中央アルプスもよく見えた。
ここで昼食休憩。ザックからパンを取り出すと、気圧の関係で袋がパンパン。これが本当のパン(ダジャレ)。
圧倒されそうな甲斐駒を前にして、重いザックはここにデポし、ポシェットに軽食を入れ、ペットボトルとカメラだけ持って登ることにした。
六方石を抜け、アップダウンのある狭い尾根道を20分程進む。尾根は風が強い。
直下の六万石のコルから甲斐駒を見上げる。正面は切り立った岩、右手は風化した花こう岩の砂山。全体が一望できるが、どこに登山道があるのかわからない。人が登るのを拒んでいるようにさえ見える。あまりの険しさに尻ごみして引き返そうかと思ったほどだった。前のパーティーのリーダーの声が聞こえてきた。場所を指さしながら、「あれが直攀ルート。それから右に目をやると中腹に人の姿が見えるでしょう。あれが魔利支天コース。10日程前に熊が出たという情報があります。」等と説明していた。なるほどよく見ると、何人かの人が壁にへばりついている。直攀ルートの先は見えないが、魔利支天ルートは人の姿で登山道があることがわかった。なにぶん、突然の甲斐駒登山になってしまったので、地図もなければ情報もなし。7時間コースと言うだけでここまで登ってきた。
前のパーティは岩稜直攀を選択したので、「よし自分も」とついて行くことにした。しかし、2,30m程登ってすぐこの選択は間違っていたことがわかった。私には無理。右の魔利支天への巻き道コースに変更した。
岩稜を直接登る直攀ルート(後で調べると主に積雪期のみに利用されている難しいコースのようだった)
魔利支天ルートはザレ場の急な坂道だった。登りはいいとしても花崗岩の砂礫は滑りやすく、下りはかなり神経を使いそう。急斜面を1時間程登ると魔利支天分岐。燕岳にあったような花崗岩のモニュメントがいくつか並んでいた。山頂はかなり下から見えていたが、そこまでがけっこう遠い。途中、岩の隙間につららがあった。北沢峠の温度計は0℃だったし、尾根道はうっすら雪が覆っていた。山の上はもう初冬である。
うっすらと雪化粧をした登山道 たれ下がったつらら
自然が作った花崗岩のモニュメント
六万石のコルから、1時間30分、やっと山頂到着。広い頂きには石の社があり、不動明王が祭られていた。他の山とちがい、昔、甲斐駒が信仰の対象となっていたのがよくわかる。
山頂は台風一過の青空が広がり、360度のパノラマ。南には鳳凰三山、地蔵岳のオベリスクがはっきりみえる。その向こうには富士山の頭がのぞいていた。右 に目をやると3週間前に登った北岳、間ノ岳。さらに西に目を向けると南アルプスの山々。北には八ヶ岳、そして少しだけ諏訪湖も見えた。北アルプスは日本海 側の天気が悪く、あいにく雲に覆われていた。
鳳凰三山の向こうに富士の頭
12時下山開始。帰りは駒津峰から双児山を越え北沢峠に降りるコースにした。
駒津峰をしばらく下って振り返れば甲斐駒が雪山のようにさらに白く見えた。下ってきた登山道もよく見えた。
右手に見られた鋸岳は勾配がきつく、その名の通り、稜線がノコギリ状で、谷は崩落が続いているのがよくわかる。これを登る人がいるのが信じられない。
シラビソの原生林のジグザグコースはとても長く感じられた。膝への負担が大きい。それでも一気に駆け下り、なんとか、3時のバスに間に合うことができた。林道から見える甲斐駒、鋸岳の紅葉はそれは見事の一言。花崗岩の白とダテカンバの黄色、シラビソのオレンジのコントラストは他に見られない。何人もの人達が北沢峠までバスで行き、手前の歌宿あたりまでハイキングを楽しんでいた。(バス停でなくてもどこでも帰りのバスに拾ってもらえる。)
バスを降り、戸台駐車場に向かう登山者達
愛車のドアを開け、登山靴をサンダルに履き替える。こらが一番ほっとする瞬間。
いつもなら隣りの仙流荘の温泉に入ってから帰るのだが、時間がないのですぐ出発。8時間の登山の後は、これから自宅まで8時間の運転。岡山からの日帰り登山はけっこうきつい。
日曜日の中央道は行楽帰りの車でいつも小牧までが渋滞する。途中、きしめんを食べただけで今回もノンストップで運転。家に着いたのは11時10分。ETC休日割引で4850円。今回は日帰りだったので山小屋宿泊料金なし。それにしても今回は疲れた~。
PS 今回は1.5kgの減量に成功。